あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

23.1.2024

昨日、結局うまく眠れなくて
久しぶりに用もないのに夜更かしをしてしまった

 

イレギュラーなことばかりが立て続けに起こって
心がざわざわして

 

そういうときに失われた何かを挽回しようと
もがけばもがくほど、手元が狂ってしまうんだよな

 

退勤時、ギリギリ間に合うか、と思ったけれど
彼はもう、機上の人になっていて
結局今日は電子レンジの修理には来てもらなくて
オンリー麺類生活2日目

 

昼のクリームスピナッチパスタは結構美味しくできたんだけど
夜の明太子あんかけうどんは、わたしが求めているクオリティにはならなかった

 

なんだかネガティブなことばかりが目につく日
別に仕事自体は落ち着いているんだけどな

 

全然頑張っている自覚はないのに
こんなことをこぼしている自分にも正直嫌悪感
夜更かしのせいなのか、他に原因があるのか

 

ちょっとだけ、なにからも隔たって
一つのものことに没入したら、調子が戻ってくるかな

 

こんな夜はとりあえずアイスクリーム
普段だったら絶対選ばないストロベリーを選んでいるあたり
やっぱりなにかがおかしいんだよな

 

22.1.2024

久しぶりに、昔から使っていたはずの
ミルボンのヘアオイルを使ったら、
妙にノスタルジーを覚えて

少し経ってから、
ああ、大学一年生の冬休み、
エアフルトで飲んでいたフルーツティーの香りに似ているんじゃないか、と思った

 

それはあの陰気な旧東党員のアパートメントで、
初日のスーパーで調子に乗って買ったものだったような気もするし、
毎日のティーブレイクで出されていたお茶だったかもしれないし、
大学の一角にあった少しおしゃれなカフェテリアのものだったかもしれない

 

そんなディテールを思い出しているうち、
やっぱり、このヘアオイルをあの時も持って行っていたのではないか、
という気がしてくる

 

この場合、重要なのは記憶の正誤ではなくて、
これだけ鮮明に情景を一つ一つ思い出せるということ、
もう、あれから6年が経とうかというこの後に及んで、ということ

 

 

それにしても、物をダメにしてしまうということは、
わたしの精神平衡を見出しすぎる

 

昨日は、電子レンジが壊れてうんともすんとも言わなくなり、
本日は、ヴィンテージのコンパクトの状態が悪化しているのを、
発見してしまったから

 

電子レンジはともかく、
コンパクトについては、わたしがそれを選んで所有物にしたのだから、
責任を持って、責任を持って管理しなければならなかった

 

こんなに美しいコンパクトの持ち主は、
何もわたしである必要はなかっただろうし

わたしではない、もっと注意深く、
もっと関心をそそげる持ち主のところへ行っていたら、
いつの間にかいろんな物を入れっぱなしにしているポーチの中で
目薬が漏れていたことにずっと気付かずに、
真鍮色のメッキが擦れて剥がれてしまったであろう隙間から
錆びさせてしまう、なんてことはなかっただろうに

 

でも、せめてそれが表面ではなく、裏面で起こったことは、
なにかの情けなんだろうか

 

わたしだって、いつまでもぴかぴかに光り輝くコンパクトとして
大切に扱おうとしたんだよ
でも、そう保つことも、その後の手入れの仕方も、
失敗しちゃっただけなんだ

 

かたちあるものはいつか壊れる、とはいえ
うつくしいものを、うつくしいまま保つすべ
心から欲しているのに、いつまで経ってもわたしの手に余るな

 

21.1.2024

いったい、何から書き始めたらいいんだろう。

 

ちいさく願ってきたことが、たなぼたのようにわたしに降り注いできて
そのここちよさに包まれているのと同時に

 

あまりに周りの人とかけ離れた形の幸せを享受していることに、
みっともなくも、不安を覚えているということ?

 

一定以下の渇望感に苛まれることがなかったので、
いったい、価値のある文章とはなにか、というところから前に進めずに

 

気づけば文章を綴るという行為の前に、
堆い壁が積み上げることを繰り返していたということ?

 

 

今週末は、もうすぐメキシコへ旅立つという彼が、
いきなり発熱したというので、ずっと看病をしていた
(彼との関係性がこんなに変わったなんて、数年前の自分に伝えたら、
 果たしてどんな顔をするだろう)

 

彼の実家が遠いから、その状態で帰るのはしんどいだろうと思いながらも、
このまま一ヶ月、目見えることなくお別れというのが
耐えられない、その他諸々のわたしのエゴゆえでもあって

 

利他とは自他である、という言説を噛み締めている、いま

 

 

結局回復したのは何よりだったんですが
このままぶり返さないといいんだけど

 

彼を見送った後、お茶を淹れて、
グレーバーの『ブルシット・ジョブ』をさらに今更、読み進めながら、
わたしがしている仕事、しなければならない仕事、してみたい仕事について考えてみて、
やっぱり、世界には数種類の分かり合えない人間のグループがいるに違いない、と思った

 

 

異なる常識を抱えた「分かり合えなさ」を
最低限の良識で補完することは、不可能なのだろうか

 

絶望的な日本の政治のことを、世界の経済のこと、
諦めるのは、迎合だと思う

 

一つ一つ、具に意見を作っていくことしか、個人にはできないけれど、
そのパワーが、わたしにもその他の人にも、あまりに足りていない

 

だからこそ、インプットをしなきゃ、と逃げていたけれど、
入れたら出して行かないと、
身につくものは身につかないし、深まってもいかないね

 

 

 

 

 

4.9.2022

文章を、書かなければ

 

そう思って、この場に戻ってきて、
それがほとんどぴったり1年ぶりとなっていることに、驚きを禁じ得ない

 

これを書いたときから、物事はめまぐるしく変わっていて、
私は社会人となり、自分の弱さといやでも向き合わなければならず、
「本当にしたかったことは、なに?」と
毎日不安げに問いかける日々を送っていた

 

本当に、この数ヶ月苦しかった
自分は何かを間違えたのかな、とてつもない勘違いをして、
結果的に周りの人にまで大迷惑をかけて、失望させてしまうかもしれない、と
毎週日曜日になると、憂鬱で仕方がなかった

 

今となっては一つも後悔することなんてなかった
どうしてこんなに周りのことばかり気にしているんだろう、
どう考えても私の人生に必要なものは、私の意志でしかないのに

 

物事を公に説明して、それを納得してもらうためには、
やっぱり理由が必要だ、けれど
意志に理由は、求められないのだし

 

それに結局、意志のない人というのは信用されないし、
周りに振り回されて、自信もないまま擦り切れてしまうのだ、と
身をもって体感した

 

私が、人生を賭けてやりたいこと
それって、社会に価値を生み出す、とかお金持ちになるとか、そんなことじゃない

 

本当は、わたしと似たようなつらさを背負っている人の気持ちに
寄り添ってあげたかっただけだ

 

この世の中には、今の場所とちがう世界、ちがう文化がいくらでもあって、
目を瞠るくらいうつくしくて、かけがえのないものがたくさんあって
自分以外の他者と、その景色を、その感傷を分かち合うことができたなら、
どんなことだって、人は乗り越えられる

 

みんなと一緒になれなくたって、
自分が信じるものを、信じた人と共有すれば、私たちは大丈夫
そのことを、そしてわたしなりの選択肢を示すために、
文化と文化の架け橋となりたかった

 

そして、そのために今この場でできることはあるし、
わたしだからできることも、多分たくさんある

 

誰かにこのことをうまく説明できなかったとしても、
わたしは、もうわたしの意志を疑わなくていい

 

これだけ悩み抜いて、中高のときの自分が考えていたこと、
それからずっと頑張っていたこと、
最後に、わたしがずっと心の中でのぞんでいること

 

やっと、納得のいくかたちで紐づいたのだから
もうその理想から、踏み出しもせずに逃げ出したくはない

 

 

1.9.2021

駅ビルの書店を出て、階段を降りたところで外気を吸う
霧雨が道を濡らしている
ほんの少しだけマスクをずらすと、ひやりと秋が薫った

同じようなぐずついた天気の日に、 同じような道のりでこの匂いをかいだ
そのときの私は、重たいブレザーとスカートに身を包んでいた

本は、当時の私のアイデンティティであり、夢であり、 なにより、延命装置だった
書店は、私が他の人と同じように呼吸を続けていくために 必要不可欠な空間だった

そのことを思うと、当時の私は
意味もわからず、座標もわからず、
バタ足で水中をさまよったまま、 塩水に傷ついた眼で、
遠くに陸らしきものを望んでいるような
そんな状態だったのかもしれない

周りの子は、水かきもあるし、呼吸法も備えているの
どうして、自分には同じことがこんなに苦しいのか
私は陸に上がりたいのに、 皆は水の中が十分に住み良くて、
誰も遠くに行く必要性を感じていないみたいだった

それでもたまに、一人で陸へ向かって泳ぎ始める子はいたけれど
なぜだか私はそれを眺めながら、
“自分はその資格が未だない”
と、その場で立ち泳ぎを続けるばかりだった

そして私はいま、皆と少し離れた場所で
やっぱり、ジタバタとその場でもがき続けている

そんなふうに、昔の記憶と今の自分をとりとめもなく往き来する
秋はきっと好きな季節だから、その分思い入れが強いから、
ちょっとだけ感傷的になりやすい