あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

22.1.2024

久しぶりに、昔から使っていたはずの
ミルボンのヘアオイルを使ったら、
妙にノスタルジーを覚えて

少し経ってから、
ああ、大学一年生の冬休み、
エアフルトで飲んでいたフルーツティーの香りに似ているんじゃないか、と思った

 

それはあの陰気な旧東党員のアパートメントで、
初日のスーパーで調子に乗って買ったものだったような気もするし、
毎日のティーブレイクで出されていたお茶だったかもしれないし、
大学の一角にあった少しおしゃれなカフェテリアのものだったかもしれない

 

そんなディテールを思い出しているうち、
やっぱり、このヘアオイルをあの時も持って行っていたのではないか、
という気がしてくる

 

この場合、重要なのは記憶の正誤ではなくて、
これだけ鮮明に情景を一つ一つ思い出せるということ、
もう、あれから6年が経とうかというこの後に及んで、ということ

 

 

それにしても、物をダメにしてしまうということは、
わたしの精神平衡を見出しすぎる

 

昨日は、電子レンジが壊れてうんともすんとも言わなくなり、
本日は、ヴィンテージのコンパクトの状態が悪化しているのを、
発見してしまったから

 

電子レンジはともかく、
コンパクトについては、わたしがそれを選んで所有物にしたのだから、
責任を持って、責任を持って管理しなければならなかった

 

こんなに美しいコンパクトの持ち主は、
何もわたしである必要はなかっただろうし

わたしではない、もっと注意深く、
もっと関心をそそげる持ち主のところへ行っていたら、
いつの間にかいろんな物を入れっぱなしにしているポーチの中で
目薬が漏れていたことにずっと気付かずに、
真鍮色のメッキが擦れて剥がれてしまったであろう隙間から
錆びさせてしまう、なんてことはなかっただろうに

 

でも、せめてそれが表面ではなく、裏面で起こったことは、
なにかの情けなんだろうか

 

わたしだって、いつまでもぴかぴかに光り輝くコンパクトとして
大切に扱おうとしたんだよ
でも、そう保つことも、その後の手入れの仕方も、
失敗しちゃっただけなんだ

 

かたちあるものはいつか壊れる、とはいえ
うつくしいものを、うつくしいまま保つすべ
心から欲しているのに、いつまで経ってもわたしの手に余るな