あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

17.9.2019

 

 

 

ポルトの青は特別だ、
その言葉を聞いて、計画を始めた旅だった

 

なのに、最終日の今日に限って、
それが見られないなんて

 

昨日からポルト市内を観光し始めたけれど、
いい意味でリスボンよりもコンパクトで、
見たいところはすぐに見尽くせる街だった

 

それから今日は、いよいよ海へ

 

晴れたり曇ったり、不安定な天気だったけど、
時折晴れ間も見えたから、
なんとかなるんじゃないか、って思った自分が甘かった

 

バスから海辺が見えた瞬間、
信じ難くて、思わず目を背ける

 

そこには、真っ白な景色が広がる
一面の霧と、波の打ち寄せる音

 

私が期待していたのは、こんな景色ではない

 

呆然と、その景色を見渡した後、
美味しいものでも食べよう、と立ち上がった瞬間、
午前中に、信じられない勢いで一目惚れして買ったプレートを、
一瞬で、割ってしまって

 

もう、本当に
霧に覆われた海辺で、一人涙を流した
何がいけなかったんだろう
どうして、こうなってしまったんだろう

 

全て、偶然の所業であると思えれば、どんなによかっただろう
ブランド名で検索しても一切出てこないし、
その後街中で探しても、現物はおろか、ブランドさえ見つからない

 

購入した雑貨屋さんでは、ラストワンと言われた後だった
他にもたくさん、ポルトガルで作られた美しい食器は見たけれど、
何もかもが、色褪せて見える

 

それほどに、うつくしかったの、本当に

 

 

 

取り返しのつかないことししてしまった、
私が全て、めちゃくちゃにしてしまった

 

この二つの出来事は
世界にとっては瑣末でどうでもいいことでも、
私にとっては、せかいが反転して見えるくらい、一大事だった

 

旅の終着地にして、最大の目的でもあったポルト
まさか、こんな結末で終わるなんて

 

正直、数日は落ち込んだままなんじゃないかな、と思いつつ
でも、ものはいつか壊れてしまうし、
落ち込んでばかりもいられないのが現実

 

タパスとワインをつまみながら、友人とチャット
ふわり、と酔狂に悲しみを飛ばしつつ
これでいいのかな、これでいいんだよ、と自分に言い聞かせる

 

半日駆けずりまわったおかげで、ポルトガルの陶器ブランドには詳しくなった
あの陶器にも、ご縁さえあれば、きっと辿り着ける

 

そう、全ては縁を中心に、まわっているのだから