あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

12.11.2020

毎日飛ぶように過ぎていくけれど、
少しずつ調子を取り戻しているように思う

 

だいたい不安になるときというのは、
先の見通しが立たないとき

 

そこから抜け出すには、
一つ一つの物事の全体像が見えている状態まで
まずは、やっつけること
解像度の高さは、問題にならない

 

毎日深夜まで眠れなかったあの夏の日々は地獄だった、
自分が何も頑張れていないような気がして死にたくなった

 

けれど、今になって、あの日々が全然無駄じゃなかったことを
とてもとても、実感している

 

あのとき、
「全然読めてないし、どうせ読みきれないのに」
と思いながら集めていた論文の資料があるから、
いま、なんとか年内に8割完成させるための材料は、
すくなくとも手中にあるな、と思うし

 

よく分からぬまま就活サイトの空欄を埋めたり、
色々な説明会に参加したり、
インターンに応募してみたりしていたから、
ある程度の情報と場慣れを手に入れて
大体納得のいく程度に、企業も絞れて来たように思う

 

ダメな日も確かにあるけれど、
そう感じるのは、すくなくとも
頑張りたいと思っている自分がいるからだ、と
遠い未来から、あの頃の自分を励ます

 

 

 

さて、最近もう一つ
夜の読書の時間がルーティン化してきたことが、
精神安定に寄与していると思う
寝つきもはるかに良くなったし

 

とはいえ、昨日やっと上巻を読み終わった
トルストイの『戦争と平和』の長さには
さすがに辟易した、
まだこれで、半分!

 

 

ちなみに、私が読んだのは中古であったので
筑摩の世界文学全集版なのだけれど
古い割に、訳が読みやすくて色褪せていないのは
一体どういうわけなのだろう

 

これはいうまでもなく世界文学に属する作品だけど、
ここで一つ、ブリタニカの定義を引いてみる

この言葉を初めて用いたのは晩年のゲーテであった。彼はそれを道徳的および美的感情の国民相互間における融合から生じるものとした。世界文学は単に全世界の文学の総量という意味ではなく,世界文学の対立物としての国民文学の存在を認め,その国民文学の存在意義を確立し深化させると同時に,時代や民族の制約から脱した超国民文学としての世界文学の理念が生れるとしたのである。 20世紀に入ってから,ことに近年の盛んな国際的交流のなかでは世界の存在がますます身近に実感されるとともに,世界文学の理念も一層意味を増してくるであろう。

そうかぁ、ゲーテが "Weltlitaratur" と最初に用いたのか
などと思いながら、この難解な定義を、ゆっくり噛み砕く

 

世界文学、と呼ばれるものに
私はまだまだ、ほんの一部しか触れていないけれど

 

完全に地理や文化、置かれている社会状況が全く違うにも関わらず、
懐かしいような、見たことのある感情の動きを
その筆致に捉えている
そうした作品ばかりのように思うし、
それが世界文学の定義なのだと思う

 

戦争と平和』は、まさに身分の階級差を超えて、
人間が普遍的に感じる感情を
その莫大な叙述で事細かく捉えている

 

ロシア語は表現力がとても豊かであると聞いたことがあるけれど、
まさに表情の機微や、感情の動向が
立ち現れてくるようである

 

そして第二部のラスト、
ピエールが流星を眺める場面の
描写の美しさといったら!

 

とはいえ、あまりにも時間がかかったので、
すぐに取りかかるべきか、別の作品を小休止に挟むか
迷った末、昨日は桜庭一樹の『じごくいきっ』を手に取った

 

帰国してから、
どうしても手をつける気になれなくて
何故かは分からないけれど、
多分、最後にストックがなくなってしまうのが怖かったのだと思う

 

そしてまだ最初の二篇しか読んでいないけれど、
すでに大号泣(他の人が号泣するような物語かは分からない)

 

まあ、この本の話は、
書ききれないものがあるので
次回に回したいと思います

 

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これはたまたま先日写真に収めることができた、
二重虹

 

目の前で、
灰空の上で二重の虹がどんどん色味を増していくさまは、
ある種の凄みがあったのだよ、本当に