あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

24.9.2019

 

 

 

21度目の、誕生日

 

 

 

いつもならこの時期に、大学が始まるか、
または中高時代はテスト期間だったわけで
そばに人がいない、ということはなかった

 

何より、親元に住んでいたわけだから、
家族すらいない、ということはなかったわけだし

 

けれど、今回ばかりは仕方ないな、と半ば諦めていた
ドイツの大学は、まだ二週間ほど始まらないし、
大学が始まらなければ、当然知り合いができることもない

 

寮の隣人になる子は、10月になるまで入居してこないし

 

そして、タイムゾーンが違うところで誕生日を迎えるのは、
おそらく、2度目

 

1度目の時はあまりにも幼くて、
時差のことなど考えなかったけれど、
今回は無駄にそんなことを考えてしまって、
20歳と21歳の境界がひどく、曖昧だった

 

狭間に立って、落ち着かなくて、
去年の誕生日のSNSの投稿などを、見直す

 

“好きなものを、胸を張って好き、と言えるように”
果たしてその目標は達成できたのかしら

 

でも、少なくともそういう話をできる友人が増えたのは、
確かなのかもしれないな

 

 

 

そして、孤独を覚悟していた誕生日当日なのだけれど、
なんとパートナーの子が、
“もし予定がないのなら、一緒にご飯でも食べよう!”
と、誘ってくれて

 

実は、まだバディプログラムのパートナーから
音沙汰すらない、という子の話を聞いている
だから、こうしてパートナーと連絡が取れて、
ましてや誕生日を祝ってもらえることは、当たり前では、ない

 

私の住居まできて、まずは再度時間割の説明をしてくれて、
次に、Altmarktまで出かけて、
Wi-Fiルーターと、彼女の必要なものを買う

 

そう、ようやく今朝、
インターネット接続に必要な書類が投函されていて、
これこそ誕生日プレゼントにちがいない、と喜んでいたのだった

 

けれど、当然その情報の意味は分からないし
今日中に接続できるかは未知数だったから、
気は抜けなかったのだけれど

 

Wi-Fiルーターは、実は最初の電気屋さんでは売り切れていて、
もう一つの電気屋さんに向かったのだけれど、
やはり所定の棚に在庫がない

 

“多分、みんな同じことを考えているんだよね”
と苦笑しながら、顔を見合わせていると、
前方のワゴンに、
大量にお目当のものが積まれているのを発見する

 

ホッとしながらそれを買って、
ようやくお昼ご飯へ

 

“美味しいバーガーがあるから!”
と誘われていったそこは、
めちゃくちゃお洒落で、かつめちゃくちゃお得

 

トータルの値段は安くはないけれど、
パンの種類まで選べるグルメバーガーに
ポテト、ドリンクが二つ、それからソースがかけ放題
そもそもドイツでは水すらタダではないから、
ドリンクセットは非常にありがたい

 

そしてそのバーガーのあまりの美味しさに、
ただでさえないボキャブラリーを、失う

 

このバーガーのために、私はこの街で生き延びるぞ、
と思ったくらいだった

 

バーガーだけじゃなくて、
マヨネーズも、バーベキューソースも、オレンジマスタード
美味しすぎて、どんどんかけてしまうし

 

パートナーの子は、
“あなたはいつもソースかけすぎだって、皆んなに言われるんだよね”
なんて笑っていたけれど
そりゃこの美味しさだもの、かけずにはいられないよ……

 

 

 

彼女はその後アルバイトがある、というので、
夕方ごろに別れて、
私は一旦荷物を置いた後、Ikeaに再度向かった

 

今回は整理グッズがお目当て
やっぱり慎重に検討しなければならない時は、
気を使わずにいられるので、一人で訪れるべきだろう

 

いくつかの箱と、カゴと、書類立てなどを買ったのだけど
なんか、1年間のためにどこまで揃えたらいいのやら
こうしたものって、
“絶対に必要ではないけれど”
それでもいくらか心の支えになるものは、ある

 

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例えば、ここに置いてあるもの全てそうだけど、
私のこころには、きっと必要なものだ

 

 

 

Ikeaを物色している間に
たまたまベルリンの友達から電話がかかってきて
建物内でサクサクWi-Fiが繋がるのをいいことに、
結局2時間近く電話してしまう

 

20時までIkeaにいる予定ではなかったのだけどね
まあコーヒーも飲み放題だったし、誕生日だし
ちょっとは好きなことをします

 

そして家に帰ってきて真っ先に
ルーターのセッティング
なんだか色々方法があるらしくて、ちんぷんかんぷんだったのだけど
(実家ではモデムを使った方法から、ますます分からなかった)
とりあえずできそうな方法を試す
それはケーブルで繋ぐだけだったのだけれど、
びっくりするほどあっさり接続できたので、拍子抜け

 

だけど、その時の喜びと安堵といったら

 

今、現状では、
めちゃくちゃ少ない携帯のギガ数と戦いながら、
スーパーの無料Wi-Fiなどを駆使して、なんとか生き延びていて
それがここの更新が停滞していた理由でもあった

 

そしたら今度は米国にいる別の友人から、電話がかかってきて
どうやら、彼女は毎日課題と5〜6時間悪戦苦闘しているらしく
この前まで日本にいた時の
彼女の勉強に対する態度と比べて、ぎょっとする

 

流石、米国の大学、といったところなのかもしれないけど
私も大学が始まったら、もっと苦しむんだろうな

 

 

 

SNSを見ていると、
大変だけど、留学生活や講義は刺激的!
という投稿にあふれていて、
そんな中、内容どころか、
未だに前置詞と動詞の組み合わせ、なんてものに
ウンウン唸っている私(たち)って、どうなんだろうね、
とベルリンの友達とは話していたのだけれど

 

それでも、食らいついていくしかないし
はじまってみないことには、なんとも、だよなぁ

 

そして21歳の抱負、なんて仰々しいものを立てる必要を
今年は感じない、
あまりに目の前に横たわるものが、大きすぎて
他のことに構っていられない

 

けれど、強いていうならば、
“自分が納得できない理由で、逃げない”、かな

 

逃げることも時には必要だけれど、
この貴重な一年間に、できるだけ後悔の跡は残したくない

 

それでも私はやりきりました、って胸を張っていえるような
そういう一年間になるように、精進します