あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

15.8.2019

 

 

 

一昨日、昨日、そして今日
この三日間が、多分このコースの中で私が最も忙しくしていた時期になるだろう

 

友達に
「毎日毎日全部参加して、何でそんなにエネルギッシュなの?」
と笑いながら聞かれたけど、
そんなこと私が聞きたいくらいだ

 

本来私は全くエネルギッシュな方ではないし、
むしろ旅先では特に、すぐにバテてしまうタイプ
それでも今回、これだけのスケジュールをこなしているのは、
一つは私がとても貧乏性だから、
そしてもう一つは、人の何倍も焦っているからだ

 

このコースは、午前中の授業に加えて、
午後のプログラムと、夕べのプログラムがある

 

午後のプログラムは基本的にすべて無料で、
ベルリン市内や郊外をツアーで巡ったり、
様々な施設を見学することができる

 

夕べのプログラムは、
ベルリンで催されている映画や舞台、コンサートなどを、
大学側が半額補助してくれて、
それぞれ興味のあるものを観に行くことができる

 

午前中の授業はマストだけれど、
午後と夕べのプログラムは完全に任意参加だ

 

けれど、これまで私は一度たりとも午後のプログラムをスキップしていない

 

もちろんそれは無料でこんなに貴重な経験をできる機会なんて、もうないから
もし自分がただベルリンに一ヶ月滞在しているだけだったら、
収容所やレジスタンスの資料館は自ら足を運んでいないだろうし、
ベルリンで自転車を漕ぐこともなかっただろう

それに、こういった方面の知識が、
「圧倒的に足りていない」というネガティブな自負からは逃れられないし、
ドイツ語運用能力も、全然このままじゃダメだし

 

 


そんなわけで、
一昨日と昨日は連続で劇を観にいった

 

火曜日は、"Linie 1"という劇
これは1986年の西ベルリンの地下鉄を舞台にした作品

 

ロックスターとの逢瀬を夢見て、
田舎からはるばるベルリンまで出奔してきた少女が、
当時のアングラな地下鉄の中で揉まれる、という内容だ

 

勿論、ドイツ語の全てを理解できたわけではないし、
英語字幕が理解の助けになったかと言われれば、そうでもない
(情けないことに)

 

でもこの舞台の見所は、
バックミュージックが全て生演奏というところで、
バンドマンが演奏するボックスが舞台上部に設けられていて、
正直、めちゃくちゃカッコよかったし、しびまくった

 

それに、役者達の演技が迫真すぎたし、
途中で日本語喋り始めたし(!)
英語が分かる人は勿論、そうじゃない人も絶対楽しめるし
私的には激推しです

 

もう一つの激推しポイントは、
当時不況の最中のベルリンの様子が概観できること

 

文字通りのアンダーグラウンドで、
希望をなくした人々がどのような態度で、どのような行動をとっていたのか
なぜ酒に溺れて、薬にまみれて、
汚い身なりで這いずり回るように生きていたのか
このことは、知っておいても損ではないと思う

 

それにしても、
Für Erwachsene(アダルト向け)って書いてあったし、
勿論そういうシーンも多数あったけど、
普通に小学生くらいの女の子とか座ってたし、
あれはいいんだろうか笑

 

しかも思いがけず公演時間が何と3時間にも及び、
終わったのは22:45頃
別に今でも、この時間に一人でSバーンやらUバーンやらに乗るのは怖いし

 

まあもうこういう時には、
「いつも乗ってます」的な雰囲気をいかに醸し出せるか、に尽きるけど笑

 

そして昨日の演目は、かの有名な"ロミオとジュリエット"

 

しかしこちらも予想外で、
普通のシアターでやるのかと思いきや、
何とまさかのオープン・エアー

 

そして運の悪いことに、
一昨日あたりからベルリンの夏は失速し始めていて、
晴れていても肌寒いことこの上ない
みんなで毛布に包まりながら観劇していたけれど、
途中は本当に風邪をひくかと思ったよね

 

けれどもっとすごいのはキャストの方で、
あの冬のように寒い中、
(本当に観客は皆冬の装いだった)
半裸で駆けずり回ったり、
ジュリエット役の人なんて薄着なのに、
半刻程寝そべったまま動いていなかったし

 

演劇はしばしば身体を張らなければならない仕事だけれど、
本当に体調の方が心配になるほどだった


ここまで書けば明白だけれど、
これまたクラシックなタイプの劇ではなく、
モダンかつ抽象的なテイストになっていて、
とても不思議な後味だったな

 

そしてglobe berlinという劇場の名前がどうも気になったので調べてみると、
オープン・エアなのは今年のプレ公演だけ?らしく、
来年、2020年にはglobe berlinのシアターが完成するらしい
勿論これはロンドンのグローブ座からインスパイアを受けたもの

 

両方の公演で驚いたのは、
劇場自体は小規模だけれど、
張り出し型の構造も手伝って、客席と舞台の距離が、とても近い

 

改めて、演劇って本当に自由だよな、と思う
全てが工夫次第でまかなえる、というか
でも、そうした時に求められるのは、いかに自由を使いこなせるか、で
つまり、自由であることは、簡単なことではない

 


そして、今日はGemälde Galarieという美術館を見学してきた

 

クラナッハデューラーレンブラントフェルメールラファエロ
ブリューゲル、ヒエロニムス、ボッティチェリ

 

展示されている作品の画家のネームバリューは勿論、
クオリティもさることながら

 

正直、よだれが垂れるんじゃないか、と思ったくらい名作揃い

 

これが今日ならタダで見学できる、というのだから、
観に行かない手はない

 

けれど、実は私、ここに何が展示してあるのか全く知らないまま、
ただ13世紀から18世紀の西洋画が多数収蔵されている、という情報だけで
ここを訪れていた

 

まあでも一番興奮したのは、
後半の展示でベネツィアからの作品群を発見した時、だったかな

 

なんといっても、
カナレットの作品がずらりと並ぶ姿は、圧巻だ

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やっぱりどうしたって私は風景画が好きだし、
特に美しい水辺の景色に引き寄せられてしまう

 

海や湖の揺らめきとか、
水面で光と空気が踊る様子とか
それをカンバスに留めた筆の動き一つ一つを眺めているだけで、
永遠に幸せな気持ちで過ごせるような気がする

 

そして、ティツィアーノ
私の愛してやまない画家の作品が、ここにも

 

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ああ、もうなんというか
本当に充実した三日間だったな、疲れたけれども

 

 

 

そして今日、グラマーのコースで、
ありえない量の大量文法プリントを手に入れたので、
ちょっとずつこなしていきたいな

 

ぶっちゃけドイツ語に関しては文法をゴリゴリ練習したことがないし、
自力で乗り切ってきた節があるので、
タダでこの量はありがたい

 

できないことの多さに気づいてへこたれそうになるけれど、
できることも、ちょっとずつ増やせるはずだということも分かってる
写真の整理も終わったので、ようやく寝られるよ

 

実は今週、まだまだ予定がいっぱいで落ち着かないのだけれど、
来週になれば、一気にガクッと拘束時間も減るし
体調だけには気をつけて、気を抜かずに頑張ろう