あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

14.6.2019

 

 

 

海獣の子供」を観てきた

 

五十嵐大介、という名前は知らなかったのだけれど、
彼の作品である『魔女』という作品集は、何度も書店で見かけたことがあった


何故今まで買い揃えるに至らなかったのか、
甚だ自分に対して疑問だ

 

結論からして、
びっくりするほどこの映画は私の好みの真ん中を射抜いていた

 

というか、ちょっと人生観というか、
色々な感性が変わってしまったかもしれない、
というほどの衝撃

 

終始全く集中力を切らさずに作品に集中していたのに、
脳はショートして焼き切れるばかりで、
ラストシーンになっても、何一つ謎が解けそうもなくて

 

ただひたすらに美麗な映像が流れ込んでくる、
それは青い暴力を外から内から浴びているようで

 

幾度となく繰り返される、
ゴーギャンの絵画のタイトルにもなった、あの問い

 

 

 

海と空は一心同体で、
だとすれば、私たちの生きている大地は、
どこに位置づければいいのか

 

私たちが生きている世界は、大きな環のほんの一部にすぎなくて、
その営みを変えることなんて、本来できっこない

 

どこに生きる人も、どんな文化を持った人も、
人間も、動物も、
有機物も、無機物も、
元を辿れば、ある一点に辿り着くのかもしれない

私たちが何をしたって、決して変えられないものがある

 

一見、これは恐ろしく不気味なことに思えるけれど、
潜在的な安堵も、同時に感じられるような

 

結局どんな失敗を重ねてしまっても、
変わらず続いていくものがある、というのは
どんなことにも一歩踏み出すための、
やさしい後押しなのではないか

 

そういう、ふわっとした解釈が、
今の現実世界には足りてなくて、
だから皆、本当は自由に泳ぐ力を持っているのに、
取り巻く状況に溺れてしまうんじゃないかなって