あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

30.10.2018

 

 

 

久しぶりに、ちゃんと早起き

 

 

 

二度寝への欲望に打ち負かされそうになりながらも、なんとか起き上がる

久しぶりのまともな朝食が、身体に染み渡る

随分と柔らかくなった朝日が、街を照らし出していた

 

中々巡り会えないけれど、

原初の匂いが漂う朝焼けは美しい

 

 

 

朝のうちにやりたかったことをほぼ完了させて、インターンへ向かう

いつもよりも一本早い電車、

なかなか10時ぴったりに職場につけないのは、電車の遅れのせいだということに最近ようやく気がついたから

始業ちょっと前につく快感よ、

こういう瑣末な事柄が、後々に大きく響いてきたりするのだ(主に金銭面だけど)

 

 

 

今、文学の授業で扱っているのはドストエフスキーの『白夜』という短編

先々週は体調不良で休んでいて、ほぼ基本情報のない状態で先週は映画の上映

 

正直課題が溜まっていたのと、疲労が溜まっていたのもあって、ろくに見ていなかったのだけれど、

ブレッソンの手がけたこの映画、セーヌ川沿いの画が美しいことだけはよく分かった

 

多分、私はフランス映画のテイストがそこまで嫌いじゃないので、

いつかまとめて、真面目に鑑賞したいと思っているのだけれど、

はてさていつになるのやら

 

私はこのドストエフスキーの作品存在を知らなかったのだけれど、

あらすじや随所の場面場面を読むだけで、胸がつまるような思いがした

 

私はもちろん女性だし、この主人公のように躁状態であるわけでもないけれど、

それでも、ヒロインの方ではなくて、

どこかこの主人公に自分が重なってしまって、辛い

 

 

 

人間はどうあがいても、自己の中の矛盾を統合することはできない

 

それはどのドストエフスキー作品にも色濃く現れている特徴なのだと思う

(恥ずかしながら私の読書履歴といえば、『カラマーゾフの兄弟』の半分だけ読んで、そのままになってしまっている)

 

最後の場面、その矛盾しきった思いの丈をまっすぐぶつけてくるナースチェンカに、

私たちはひどく傷つけられるけれども、

その正直さに、ある種の清廉さに、感銘を覚えてしまうだろう

どうやったって、彼女を苦々しく思うことさえ、できない

 

むしろ、その自己矛盾を受け入れられていない自身の姿を見せつけられているようで、

恥じらいすら覚える

 

 

 

そのような、愛くるしいナースチェンカに、結局は置き去りにされてしまう、主人公

影に属する人間が、光に触れた時、無上の喜びを覚える、

しかしそれはつかの間の幸福で、光が去った後に残るのは、拭いきれない絶望感

 

選ばれなかった者の意識

どうも、この姿に自分を重ねてしまって、耐え難く、苦しく感じた

 

 

白夜 (角川文庫クラシックス)

白夜 (角川文庫クラシックス)

 

 

 

 

 

昨日の一件を引きずっているわけではないけれど、

理性的に振舞おうとする自分が、

 

「こんなこと、続けて意味があるの?

結局、選ばれない方の人間だったんじゃない、

あなたはその状態に、耐えられるの?」

 

と、気を抜く度に、機械的な声で事務的に問いかけてくる

 

 

 

確かに、そうかもしれない

本当にごくわずかな可能性しか残されていないのに、

何の根拠もなく「いつか叶うかもしれない」と思い続けているそのこと自体は、

実に馬鹿馬鹿しいと思っている

 

これは、確かに自分の為でもあるし、自分の目的を達成する為に続けていること

でも、その成果として「名誉」を求めていないか、と言われれば、

残念ながら、私はそこまで尊い人間ではなく、

頷けばそれは真っ赤な嘘になる、と認めざるを得ない

 

そんな馬鹿げた考えを根底として、

私はこの大学生活を選んだし、留学の道を選んだ

勉強をするし、本を読むし、外国に出かけるし、その為にささやかなお金を稼ぐ、

それから、今こうやって文章を書くことと向き合っている

 

 

それでも、それでも

こんなにぐらついた足場の上を私が歩いているのは、

私がそれを諦め難いと思っているからで

 

ただの惰性だ、とか、捨てきれない幻想に固執しているだけだ、とか、

貶す言葉は自分の中からでも、いくらでも湧いてくるのだけれど、

それでも、私はこの先に何があるのかを、見に行きたい

 

それは危険な好奇心とも呼べる代物かもしれないし、

精神世界での、無謀な冒険とも言えるかもしれない

 

その時、私は今の筆名の由来を思い出す

それは深い考えの中ではなく、ふとした瞬間に思いついたもの

 

この先、何回転んで、ぶつかって、失敗して、泣いて、くじけそうになるか、

今の私は、知らぬ

 

その度に、絶望の淵に落とされて、

しかもこの道のりでは、誰も私が淵に落ちたことに気づいてはくれないし、

私のことを引き上げることは、誰にもできないだろう

 

だとしたら、私はやはり、自分自身の力だけを信じていかなければならない

険しく、孤独な道のりかもしれない、

でも、私が私である限り、何度でも私は立ち上がることができるはず

 

たとえ千回転んでも、

私は千回立ち上がろう

 

それほどに屈強な決意がなければ、進むべき道ではないと思うから

 

 

 

どんなにぼろぼろでも、逆境に立たされても、

前に進もうという意志を抱き続けること、

それは、私が変わらずにあるということ

 

それが、何よりも一番重要なこと

そのことを、強く強く、胸に刻むよ

 

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