あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

18.8.2019

 

 

 

ライプツィヒは、
前回、訪れる機会があったにも関わらず、訪れなかった場所

 

旧東ドイツだった地域に位置しているこの街は、
同じく旧東ドイツだったアイゼナハにどこか似ているな、と感じた

 

 

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クラシカルで重厚な建物と、
石畳が織りなす街並み

 

由緒正しい聖トーマス教会の少年合唱団や、
生涯にわたってそこの監督を務めたバッハなど、
“音楽の街”として名高いライプツィヒ

 

でも、ここはかつて、交易の十字路となっていた街でもある
それを象徴するように、河川や水路が町中を流れている

 

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聖ニコライ教会、旧市庁舎、聖トーマス教会
これらをひとまずぐるりと回り、
短い間だけ、自由行動

 

その間、私は造形美術館を訪れた

ここには、中世から現代までの幅広いアートがおさめられている

 

例えば、ライプツィヒ出身のマックス・クリンガーのコレクションや、
クラナッハ(父)のコレクションが常設されている脇に、
思い切ったモダンアートの展示がなされているのである

でも、私の目当ては無論、ベックリンの「死の島」

 

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この作品は5点作成されたと言われており、うち1点は戦争で消失
ヒトラーが溺愛していた1作品はベルリンに展示されており、
あとはバーゼル美術館、メトロポリタン美術館に散らばっている

 

うっすらとだけ、メトロポリタン美術館で見た覚えはあるけれど、
当時はそんなに有名な作品だとは知らなかった

 

それでも印象に残っているのだから、
醸し出す雰囲気の異様さが伺える

 

死とは何か、と考えた時に、
私が真っ先に思い浮かべるのは、
息もままならないような、静寂だ

 

高校生の時に読んだ『蹴りたい背中』の冒頭、
“さびしさは鳴る。”という表現に触れた時、
ああ、これは天才だな、とため息が漏れてしまった

 

何も音がない空間を、私たちは未だに体験したことがない
例え部屋に一人で、テレビをつけていなくとも、
そこは空気が動く音、自分の呼吸音で充満しているだろう

 

そして生きている限り、私たちは、
何かに対する欠乏感を感じ続けることができる

 

「死の島」が独特の不気味さを放つのは、
そこの音が、時が、光が全て、止まっているから

 

小さな船は刻一刻と島に近づいているはずなのに、
そこに時の流れは見えないし、水音や木々の揺らぐ音は感じられない
全てが硬直している状態

このまま時が止まればいい、なんて思うこともあるけれど、
人は、停滞状態に対して潜在的な恐怖を感じる

 

これを偏愛していたヒトラーは、
果たしてどんなことを思いながらこの絵を見つめていたのだろう

 

 

そしてこのあと、走ってアイスを買いに行き、
慌てていたら、カップを割ってしまうという大惨事
そして案の定、道を間違える
どうにか集合時間には誤差程度で着けたけど、
まあ焦った

 

本当にアイスが美味しかったのだけど、
写真を撮る間もないうちに割ってしまって、
もう本当に、馬鹿

 

このあとは“船に乗る”と聞いていたので、
てっきり遊覧船に乗るのだとワクワクしていたら、
カヌーの漕ぎ方の説明が始まり、
救命服を勧められたりと、
何やら、不穏

 

そしてその予感はドンピシャで、
本当に4人1組でカヌーをこがされた

 

しかも、ちょっと、なんてものじゃない
丸々2時間たっぷりこがされて、
疲れ果てて、もはや観光どころでは、ない
もう明日の筋肉痛は確定したようなもの
ああ、恐ろしや

 

そして、ビアガーデンのある公園の方まで散歩して、
また各自で食べ飲みしていたのだけれど、
あまりにも美味しいと他の子に勧められたので、
本日二度目のアイス

 

噂通り、美味しくて
これだからドイツでの食費のうち、アイス代だけは削れそうもない

 

今日もまた、家に着いたのは22時超え
そして明日からまた、通常授業が始まる

 

そろそろちゃんと寝た方がいいのはわかっちゃいるけど、
少し課題を積み残しているので
それだけ、片付けなければね