あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

23.10.2018

 

 

 

またも、悪夢にうなされる

しばらく夢から醒めやらぬ状態で、心の震えが止まらない

 

 

 

それは私が使っている沿線上で起きた悲劇で、

というか日本が舞台なのだ、ということなのだろうけれど、

特撮ものの怪獣のようなものが、次々と容赦なく襲ってくる

 

目の前のビルの景色が、煙で黒ずんだ空と、炭化した何かで埋まっていく

 

「次はあっちから大型のが接近してるぞ!」

そう誰かが叫んだ瞬間、指差した方から轟音と噴煙

 

容赦なく建物が踏み潰され、あられもなく焼け野原になっていく

そこには確かに、人が暮らしているはずなのに

 

それだけではない

正体不明の人間の形をした武装部隊が、

民間人を掃討しようと機関銃や爆弾を投げつけてくる

 

私たちは薄い布切れ一枚を身につけるばかりで、剥き身の状態だ

 

最初、それでも動いていた電車に乗って、帰ろうとした

でも、その電車ごと爆撃を受けて、もう、その路線に電車は来ない

 

最初はそのことにさえ気が付かなくて、茫然としていたのだけれど、

そっちから襲いかかってくる敵の情報を聞いて、

それはもう来ないということに気がついて、全力で家に向かって走る

 

黒い平野に身を隠す場所はなくて、

いつ敵が襲いかかってくるかと怯えながら、必死に頭と足を動かす

襲撃に遭遇するたびに、私、ここで死ぬのかな、と思いながらも、

まだ死にたくない一心で、逃げ延びていく

 

その度に一緒に行動する人が変わっていた気もするけど、今や分からない

必死で生にしがみ付こうとすると、私以外の誰もの姿が、消えてしまう

信じられないほどの恐怖だけど、足をすくめている暇はなくて

 

 

 

起きてから、色々考えさせられた

内戦下の民間人の心境は、もしかしてこんな感じなのだろうか、とか

 

でも、歩きながら考えている時に、唐突に気づいた

視覚的、聴覚的には恐怖に満たされていた感覚

しかし唯一、嗅覚だけは、何も捉えていなかった

 

そこにあったはずの硝煙の匂い、何かが焼け焦げる匂い、

もしかしたら硫黄の匂いがしたかも

それが、全て抜け落ちていた

 

当たり前だ、私はだって、そこにいたことがないのだから

 

「ああ、これが現地にいない、ってことなのか」

 

 

あれだけ視覚・聴覚ともにくっきりと創造されていたイメージ

その人間の想像力の、限界を垣間見た気がして

 

いつ死ぬかも分からないという恐怖を抱えながら、

どこか映画のように一枚隔てているような感覚を抱いていたのは、

そういうことだったのかと、ぞっとした

 

 

 

そんな憂鬱な気持ちで始まった今日

夜は例のドイツ人のチューターの人ともに飲み会だった

串カツの食べ放題、飲み放題、

当然私が本領発揮しないわけがなく

私の前撮り写真はどうなってしまうのだろう

 

結論から言えば、不安を抱えていたものの、めちゃくちゃ楽しかった

彼がかなり日本語を解していたし、私たちも日本語中心で喋っていたから、

会話が途切れることはなかったし、適度にドイツ語も使えたし

 

彼が日本にいるうちは、まだまだ何回でも会いたいな

メタリックな見た目に、周りにはどんびかれることこの上ないですが笑

 

 

 

その帰り道、ドイツ人の友達の彼女に、そのことを報告したら、

少し会話が交わされた後に、いきなり電話がかかってきて、驚き

 

でも、電車の中だったから出ることもできず、

それができない旨を伝えて、家に着いたら連絡することを約束

「あなたが暇な時ならいつでも連絡してみて、こっちが夜だとしても全然厭わないで」

 

なんて、優しい人たちに私は恵まれているんだろう

帰ってきた後に無事電話を始められたんだけれど、

まあまあ私のドイツ語、英語の酷さといったら

 

本当にひどくてごめんね、と何度も謝る私に、

そんなことないよ! 私はあなたの言ってること100%理解できるし!

と断言してくれる

 

いやいや、それはあなたの理解能力が高いからだよ、と思いつつ、

ちゃんと勉強しなきゃな、と思った

でも、こうやって使う場所がある、っていうのは、全然モチベーションが違うんだな

 

結局1時間半も電話が続いていたことに驚き

明日も電話するね、とは言ったけれど、時間あるかしら、心配

やるべきことが地味に溜まっているのだ

 

今日のインターンはお休みしてしまったから、

流石に明日はぎりぎりまで粘らねばならない

そして朝も起きなきゃなぁ

 

 

 

頑張れ私、今が頑張りどころさ

とにかく、目の前のことに、集中