あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

12.10.2018

 

 

 

絶望したり、どうでもよくなったり

 

連日の睡眠不足を押して、早起きするも、こういう日に限って使っている路線が大幅に遅延したりする

 

そして辿り着いたドイツ語のクラスでは、まさかの新学期2回目の抜き打ちテスト

 

正直、解ける解けないの問題よりも、眠さに打ち勝てるかの方がよっぽど問題で、

他の人のペンの音が止まっているのに、まだ全然解き終わらないのに焦る

まあ、結局終わったわけなのですけれども

前回の点数が思っていたより良かっただけに、失望したくないな

 

 

 

インターン先から帰っている時に、燻製を焼いている匂いと、カセットコンロの匂いがした

紛れもなく、あれはドイツのフェスタの匂いだった

 

前に書いたことがあるけれど、私達家族がドイツで極貧生活を送っていた時、

母親は必死で私を楽しませようと、毎週末足繁くフェスタに通っていた

 

その時の私は食わず嫌いが激しくて(なんてったって、白いものしか食べられなかった)、

ソーセージもケバブも何もかも食べられなかったけれど、

私は大いにフェスタを楽しんでいたし、幸運な記憶とともに、

上記の匂いは私に結びついている

 

移動遊園地の乗り物もそうだけれど、

私が特に好きだったのは、トランポリン

日本でやっと、あれの名称が「バンジートランポリン」なのだと知った

 

3、4m(もっとか?)の高さまでゴムとトランポリンの力で跳ね上げられて、

世俗を高みからの見物

あの浮遊感の心地よさといったら、自分がまるで魔術師にでもなった気分だった

 

そして、たまにそれで宙返りをする人がいるのだけれど、

幼い頃の私はそれに憧れていて、でも中々出来なかった

 

あるフェスタに訪れた時、

それはかなり閑散としていて、今思えば興行収入は大丈夫だったのだろうか、

とにかく人がいなかったのだけれど、そこにもそのトランポリンはあった

 

それがあったら毎回やる、というのが習慣づいていて、

当然私はやらせてもらったのだけれど、そのおじさんが大層いい人で、

規定の時間を超えても永遠とやらせてくれた

何分間宙に浮いていたのだろう、その期間に天啓のようにコツを掴んだ私は、

確か三回転はできるようになった

 

当時ベルリンでそれを見ている時も、二回転まではザラにいたけれど、

三回転している人は見たことがなかったから、私はそのことが誇らしかった

あのサングラスをかけていたおじさんは、今どこで何をしているのだろう

相変わらず、バンジートランポリンの脇で笑っているのだろうか

 

思い返せば、ドイツの幼稚園では確かに私が最年長、というのもあったけれど、

日本にいる時と違って、言語以外の勉強や、体育では、私は常にトップだった

それも、圧倒的実力差をつけて

よく考えたら、私が周りより優れているという優越感に味をしめたのは、

あの時だったのかもしれないな

 

 

 

結局、やっぱり私という人間は、あの土地で形成された面が多すぎて、

ベルリンと私を切り離して語ることは、絶対にできない

単に「縁があるだけよ、よく分からないけれど」と言ってきたけれど、

前も言ったけれど、私とあの土地の結びつきは、それに止まらない

 

それは一方通行かもしれないけれど、私は、あの土地を愛している

その時にそこの文化を取り込めたとも思わないし、

ベルリンを訪れるたびに、以前との視点の高さの違いが、かなしくなるけれど

 

だからこそ、結局サマーコースをどこで受けるのか、という話になった時も、

どうしてもベルリンからの強い引力(もしくは私からの執着)に押し切られた、

留学先をドレスデンか、ザールラントか、と迷った時にも、

(勿論他の要因もたくさんあったけれど、)

ベルリンから近い、ドレスデンを捨てきれなかった

 

私は悪く言えば、そういうしがらみに囚われがちだし、

でもよく言えば、「縁」に恵まれている、のだと信じている

 

 

 

他者の記録を、今、ものすごいスピードで読み進めている

あっという間に1年半が経っていて、その人の留学生活は幕を閉じた

その時に、私も感じた

漠然と、しかし暗く大きく口を開けた、不安

 

未知なる領域に踏みだして、

目標が達成できるかも分からないのに、

それからその価値を私だけしか認められないかもしれないのに

現実的な時間を一切投げ打って、そこに投資した後、

一体自分はどこへ向かえばいいのだろう、という道標のなさ

 

これは、私の創作活動に通ずるものがあって、

つまりそれはやっぱり私の勉強し続ける理由と繋がるのだけれど

私はこのおそろしさに、耐えることができるのだろうか

中途半端、で終わりたくは、ない

 

 

 

そうだとしても、私たちにできるのは、とにかく、目先のことを積み上げること

 

B2のレベル前提で出してしまったのだから、

死に物狂いでそこに向かわなければならない

ひたすらに、命を削ってでも