あまだれのごとく

時々迷い込む後悔の森

17.9.2018

 

 

 

ついこの前まで今日が敬老の日って知らなくて、
今日は思いがけぬ休日

 

でも、あんまり効率的な時間の使い方とはいえなかったかも

 

 

 

私は全然クラシックに造詣が深くないのだけれど、
つい先日めでたくApple Musicを契約したので、最近よく聞いている

 

知識は全然ないけれど、クラシック自体は好きだから

 

ぼんやりとした知識の中でも、好きな音楽家というのはいて、
リストとか、ラフマニノフとか、ショパン

 

特に、ショパンピアノ曲はいつも聴き入ってしまうし、
ピアノ曲で「この曲好きだな」と思うと、大体ショパンなのでびっくりしてしまう

 

ワルツとかノクターンとかも勿論好き
中でも一番好きなのはポロネーズ

 

というかお恥ずかしいことに、
私の好きなフレーズがそっくりそのままポロネーズの特徴だった、
ということにたった今日気がついた
「ボロネーゼみたいな名前だな」と思っていた自分の無知さには呆れる

 

そして、
ポロネーズは、「ポーランド風の」という意味だった、ということも
ショパンポーランドワルシャワ出身で、彼のポーランド愛の強さも、今日知った

 

写真や絵画もそうなのだけれど、
私は特定の人間を思い浮かばせる作品があまり好みではない

 

だから、写真でも人物を撮ることはほぼ皆無だし、
絵画も人物画ではなく、風景画とかの方に鑑賞時間を割いてしまう
(最も、宗教画や、ルネサンス期の神話モチーフの絵画が一番好きだけど)

 

それは音楽も同じようで、
故郷に対する郷愁や、美しい風景や人々への憧憬、
あるいは自らの世界の内側にある幻想や物語がテーマとなっているものを、
好む傾向があるようだ

 

 

 

夕方から夜にかけて、愛してやまない桜庭一樹の小説を読んでいた

 

製鉄天使 (創元推理文庫)

製鉄天使 (創元推理文庫)

 

 

たまたま大学の生協でふらりと見つけて、買ったもの
桜庭作品の中でも、私が深い感銘を受けた『赤朽葉家の伝説』のスピンオフ、
という位置付けの本作は、何と「今時!?」というような不良小説

 

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

 

 

赤朽葉家の伝説』を書いている最中に、
ある登場人物が最強のレディースとして名を上げていくまでの闘争シーンが果てしなく長くなってしまったが故に、
なくなくカットした部分をそのままスピンオフとして完成させるという

 

その生まれた過程すらもロック

 

桜庭作品にしては、ひたすら爽やかな青春小説だった
前作のイメージもあって、
「不良小説って、一体どんな仕上がりになってるんだろう」
とヒヤヒヤしながら読み始めたのだけれど
なんか、久しぶりに青春小説を読んだなぁ、という感じ

 

大人になる前の少女の、混じり気のない、熱鉄のように冷めやらぬ激情を、
見事に切り取っていると思う

 

下手な恋愛要素や、中途半端な決別でごまかされない、
その魂がおとなへと変容するまでを描く上で、無駄な要素は一切ない

 

「少女」と「赤」をテーマに描き続けている桜庭一樹らしすぎる作品だと、思った

 

私は、性格がねじ曲がっている部分があるせいか、
いわゆる青春小説とか、
(これはその要素殆どないけど)ボーイミーツガール的な小説を読んでしまうと、
しっくりこなかった、という不満を残すことが多いのだけれど
これはただひたすら、結末まですっきりとした終わり方で、
桜庭作品特有の、気分を掻き乱すような心の傷を負うこともなかったし
(これは単に私が毎回負っているだけかも、そこがたまらない魅力なのだけれど)

 

それから、初めて小説を映像化してほしいとこんなにも強く願った
それも、実写で

 

こんなに実写映画に上手く落とし込んだ時、画面が映えるであろう小説、
ないんじゃないかな、というくらい

 

黒く沈む日本海を背景に、
赤緑豆小豆と穂高菫の燃える魂が赤いバイクの上を走っている、
あの神話のようなワンシーンを、私はただ、眺めてみたい